【製品について】 独特の構造をもったフルレンジ、Module Unitを開発し、このユニットを使って、数多くの個性的なスピーカー・システムを世に送り出した、Jordan Watts社。(会社を起こしたE.Jジョーダン氏は、Goodmans社の発展を支えてきた人物としてよく知られています。)日本では、Jordan Watts の製品というと、JumboやJuno、GTといった、薄型の壁掛けタイプが主に紹介されてきましたが、出品のJanetは、Julietと並んで、標準的なブックシェルフ・タイプのディメンジョンをもったスピーカー・システムになります。フロント・グリルの作りからして、前期タイプのJanetになりますので、1970年代初めの製品と思われます。(後期タイプは一般的な布張りのフロント・グリルになっています。) 当方で、一通りメンテナンスした製品です。Pairでの出品になります。 搭載されているModule はMk.Ⅱタイプ。評価の高い初期タイプのエッジです。(Mk.Ⅲからは一般的なゴム・エッジに変わり、残念ながらModuleの良さがかなり損なわれているように感じます。したがって、個人的にはMk.ⅢはMk.Ⅱとは別のユニットと考えています。) 金属コーンは、Jupiter TLSやDouble Qubiqueなどに使われている黒いタイプ。アノダイズ処理か塗装処理かは不明ですが、黒く処理されています。金属コーンの鳴きを抑えるためと思われます。なお、シリアル№は、800262と800263と連続していますので、当初よりステレオとして使われていたものと思われます。 エンクロージャーについては、かなり良質の材料を使っているようで、作りも大変丁寧になっています。側板と天地の板は、高度なホゾ継ぎで接合されています。(Jumboも丁寧な作りですが、接合は、より簡略化された相欠け継ぎになっています。) また、前面のグリルが貼られたバッフル板も厚さがmm程あり、本体に接合されている本来のバッフル板と４本のボルト・ナットで一体化して、強度を高めるようになっています。(キャビネット本体だけでもかなりの重量があります。)イギリス人好みのグリーン系のフロント・グリルにオイル仕上げのチーク材と、デザイン的にはかなり渋めの仕上げになっています。古めかしいといえばそれまでですが、経年変化でなかなか味わい深い外観にはなっていると思います。 音質については、独自の世界を確立したスピーカー・システムです。私もこの世界に惚れ込んだ一人です。上質で渋い響きが実に快く、聴くほどに心なごむ雰囲気に包まれる。かつてのEurope Gramophoneの伝統の音楽を彷彿とさせる響きといえるでしょうか。確かに、コーン直径10cｍのフルレンジ１本のシステムです。その美しさは箱庭的な美しさかもしれません。ただ、箱庭であっても、それが虚構の美学であっても、ここまでの美しさとなると、個人的にはこれ以上いうことはありません。 セッティングについては、当時のカタログでは縦置きで紹介されています。また、外観の様子からすると前オーナーさんも縦置きで使用されていたようです。ただ、背面に取り付けられたターミナルの向きからすると、横置きが本来のようで、当方でも、横置きで使用しておりました。音質的には、変化はほとんどありませんので、ご自宅のセッティング環境に合わせていただければと思います。 当方、大きな編成はDouble Qubique (特注品?: Qubiqueを縦に2台重ねて一体化。Module2本＋ツイーターの構成。)で、小さな編成はFlagon(Ceramic)かJanet、Type Aでと使い分けておりましたが、老後の整理で、Type Aに続き、このJanetをお譲りする次第です。 およその大きさは、横置きの場合で、横幅30cm、高さ20.5cm、奥行き16cmになります。 【商品の状態について】 △大きなダメージこそありませんが、底面を中心に使用に伴う小さな傷が幾つか見られます。したがいまして、出品前に軽くオイルで拭いて、あまり目立たなくはなっていますが、新品同様の美品をお探しの方は、入札をお控えください。(前オーナーさんが何か取り付けたのか、縦置きの場合の底面に木ネジ跡と思われる小さな穴がそれぞれ２つありました。音質的には何ら問題はないと思いますが、一応、ボンドで埋めてあります。) 〇Jordan Wattsの他のシステム同様、バッフルの板面に塗られた、或いは貼られたスポンジ状の樹脂が加水分解でボロボロになり、黒い粉状態になって、バッフル面とフロント・グリルとの間に溜まっていました。すべて取り除いて、バッフル面を清掃してあります。 〇フロント・グリルとターミナルはオリジナルのものをそのまま使用しております。ターミナルは古いネジ留め式の簡素なもので、新しいタイプのターミナルへの交換も考えましたが、現在では、ネジ留め式にも取り付けられる変換用のターミナル(当方でもこれを使用しておりました。)も入手できることから、そのままにしてあります。 ※Module MKⅡは、経年変化によって、接着剤が劣化し、エッジの外周側の固定が不安定になったり、不均等に収縮してコーンを変形させたりと、取り扱いには注意が必要なユニットです。当方の経験からすると、バッフルにしっかりと固定され、エッジの周辺部がきちんと圧着されている状態になっていれば、まず大丈夫です。なお、これまでの取り扱いの中でも、バッフルに取り付けられた状態では問題がなくても、外すと歪み感が出たりといったこともありましたので、今回、出品に当たり、一度だけ外してユニット単体で鳴らし、音質に変化のないことを確認してあります。(オーディオ界の遺産といってもよいユニットだと思います。こういうチェックは必要最小限でおこなってください。) なお、予備用のユニットとして保管される場合、バッフルにしっかりと取り付けた形で保管しましょう。バッフルから外して、エッジがフリーな状態で長期間保存するのは避けてください。(当方では、フラゴンやダブル・キュービックの予備用ユニットは、間にアダプター・バッフルを挟んで抱き合わせの形で、エッジがフリーにならないようにして保管しています。) 〇使用されているユニットの状態については、画像にありますように、良好であることを確認してあります。特に、モジュール・ユニットでよく問題になるコーンの変形や歪みは見られません。また、裏側から見ますと、中に詰められたスポンジ状の樹脂にも変化は見られません。 〇DCRも揃っており(公称インピーダンス：８Ω)、音圧差も通常の使用で問題のない範囲に収まっています。 【その他】 発送はヤマト宅急便、1ヶ口になります。送料着払いでお願いします。(重いシステムですので、体積より重量でサイズが決まってくるかもしれません。なお、同様の理由から、直接の引き取りも歓迎です。) ジャンク品としての出品ではありませんので、輸送中の何らかのトラブルで、製品としての機能に問題があったり、状態が説明と著しく異なったりした場合、2週間以内に、その旨ご連絡いただければ、返品は受け付けます。 なお、同時に、趣味の音響製品を何点か出品しておりますので、よろしかったら、そちらもご覧ください。（2022年 7月 25日 16時 19分 追加）〇エンクロージャー容量についてお問い合わせがありましたので、付け加えさせていただきます。エンクロージャーの容量としては、外径寸法からすると、同じ小型システムのJUMBOより、1割以上大きくなっています。