ブランド（出展者） ／ Atelier Karif作品名 ／ Neoklassik (Lederschuhe)企画　／　A.Klanert　制作 ／ Atelier Karif素材提供 ／ Klanert Leder※ ブランド名、個人名を区別するため、個人名はラストネームにイニシャルを付けて表記しています。アウリールクラネルト氏が企画し、カリフが制作した作品。カリフは、クラネルト氏が指揮する制作チームである。 関連記事URLgiessbach-schuhgilde.com/journal/works/klanert/多くの者は、初見では、本作を「まとまりの高いドレスシューズ」と評するだろう。だが、よく観察すると ―― とりわけ、観察者が高級靴というものに精通していれば ―― もっと奥が深い靴、極めて高度な靴だと気づくはずだ。本作の企画について、クラネルト氏は以下のように述べている。"まず、フォーマルウェアにマッチすること。それを守りながら、カジュアル性を高め、可能な限り多種のカジュアルウェアにマッチすることを目指した。""比喩的に表現するなら、フォーマルという端点をしっかり握ったまま、カジュアルの側へ、もう一方の手を限界まで伸ばし切った。"本作をよく観察すると、カジュアルな印象が強い意匠要素を複数持っていることが分かる。- ラストはショートノーズで、水平ボリューム、垂直ボリュームともに、やや大きい。- ウェルトは、0.8-1.2㎜程度、標準よりも広い。ファジングは細かいが、凹凸が深い。- ソールはダブルである。ドレスシューズをカジュアルでも履けるようにする意図で、カジュアルな印象が強い意匠要素を取り入れるというのは、ありふれた手法だ。（その典型は、ソールをダブルにすることである。）そして、多くの者がそれにトライするが、十中八九失敗に終わる。不自然な印象の靴が生まれるのだ。しかしながら、本作は、カジュアルな意匠要素を複数持っているにもかかわらず、確かに「まとまりの高いドレスシューズ」なのだ。よく観察して、個々の意匠要素に気付いても、初見で得た印象は覆されない。普通、黒のキャップトゥに対してカジュアルな意匠要素を複数取り入れれば、秩序が乱れるもの。だが、クラネルトやカリフは秩序を乱すことなくまとめ上げた。やはり、彼らは天才である。「正統なクラシックシューズであれば、ドレスシューズであり、カジュアルシューズではない」本作は、この常識を過去のものにする。現代では、ドレスとカジュアルの境界が曖昧になった。現代において、人々はドレスシューズでしかないものを求めていない。人々は、ドレスシューズでありながら、カジュアルシューズであるものを求めている。本作は、正統なクラシックシューズとして、完璧なドレスシューズだが、同時にカジュアルシューズでもある。すなわち、現代に即したクラシックシューズであり、クラシックシューズを正しく再定義している。■ データの保存についてギルド系作品は、一般的な高級靴に比べて、資産価値が非常に高いものです。そのため、ギルド系作品には、作品毎にID、個体毎にシリアルナンバーが付与され、IDやシリアルナンバーに紐づけて、作品や取引の詳細データが保存されています。日本国内で流通するギルド系作品に関しては、当スタジオの知財担当者がこれらのデータの保存を請け負います。そして、真贋鑑定等が必要になった場合に、これらのデータを利用します。■ サイズUK7ご愛用中の靴（ブランドやモデル名、ラスト名等）と、そのサイズをご教示いただければ、この靴が合うかを推定いたします。下記URLのカルテにご記入いただいた場合は、その旨をお伝え下さい。giessbach-schuhgilde.com/contact/index#karteなお、回答は、あくまでも推定であることをご了承下さい。この靴は、下記の靴に近いサイズ感です。ご参考にして下さい。- オールデン（バリーラスト） US7D-7.5D- ジョンロブ（7000ラスト） UK6.5E-7E- エドワードグリーン（202ラスト） UK6.5E-7E- パラブーツ（シャンボード） UK6.5-7- JM ウエストン（598) 6D-6.5D- JM ウエストン（300) 6.5E-7E■ コンディション準・新品 ／ 未着用品 （試着も含め、足入れは一度もありません。）未着用品ですが、プレケアを施しているため、状態ランクを【未使用に近い】に設定しています。■ プレケアの必要性・重要性私たちは、より長く履けるものや、より美しくエイジングしていくものが高品質であると考えています。 関連記事URLgiessbach-schuhgilde.com/book/nb/03#3-2より長く履くためには、より美しくエイジングさせるためには、保革ケアを徹底的に行うことが必要です。ここでの保革ケアとは、一般的なシュークリームを塗ることではなく、革内部の繊維から古い油分や不純物を取り除き、適切な種類・配合の新しい油分を適量行き渡らせ、保水能力を適度に維持することです。 関連記事URLgiessbach-schuhgilde.com/book/aa/03靴を履き下ろす前は、革内部の繊維が成分（良い成分も悪い成分も）を最も吸収しやすい状態にあり、ここで何を与えるかが靴の将来を決めると言えます。つまり、より長く履くためには、より美しくエイジングさせるためには、特に履きおろし前のケアが重要です。以上の考えから、私たちは、新品の靴にも保革ケアを施します。鞣しが終わってから、ある程度の時間が経過しているため、新品の靴の革は適切な油分量や保水能力を維持していません。また、鞣しでは均一に（どこが靴のどの部位になるか考慮されず）成分が入るため、制作完了後の靴は、特定の部位において能力不足になっています。履きおろし前の保革ケアによって、これらの不足をカバーします。■ プレケアの内容私たちは、保革ケア専用のアトリエを構えています。ここで出展される靴にも、そこでプレケアを施しています。アッパーレザーとソールレザーに精製水を浸し、適切な種類・配合の油分（適切な種類・配合は、レザー毎に、その鞣しで使われた材料から判断します）を揉み込みます。その際、革内部の網状層の湿度を計測しながら、油分を浸透させます。（網状層の湿度をコントロールすることが極めて重要です。）必要に応じて以上の工程を繰り返し、最後にシュークリームで仕上げます。■ プレケアに伴う注意点、補足等・コンディションについてケア剤の揉み込みを行うと、多少の傷や皺、ソール面の染料滲み等ができます。傷や滲みは、大きく見積もっても「23回外で履けばできるもの」の範囲に収まります。また、足入れは行っていないため、履き皺はありません。完璧な新品状態をお求めの方にはおすすめしません。より長く履けるもの、より美しくエイジングするものをお求めの方にはおすすめします。・ダウンタイムの期間プレケアを施した直後は、レザーの質感はマットに、色味は濃く、色ムラは強くなります。この質感・色味の変化は、約１カ月かけて落ち着きます。※ ブラックでも色味の変化があります。また、約１カ月のダウンタイム期間後は、プレケアを施す前に比べて、色の深み（ケアを施した直後ほどではありませんが、色味が濃く、色ムラが強くなります）、柔軟性、耐水性、クリームやワックス使用時のツヤ感等が向上しています。・履きおろしについてプレケアと同じく（プレケアの効果を最大限活かすためにも）適切なタイミングで履き下ろすことが極めて重要です。履きおろしのベストタイミングは、プレケア完了後から約2-8日後です。このタイミングに合わせて発送いたします。なお、約１カ月のダウンタイム期間中は、30分程度の試着歩行を週12回行うのが良いです。・各オークションページの写真についてプレケアの前と、プレケア→ダウンタイム期間後で、靴の見た目が大きく変わります。 そのため、入札を検討される方々には、プレケア→ダウンタイム期間後の完成形を見せるべきです。そこで、以下のような方法をとります。- 当スタジオには、各アトリエから、同仕様（ラスト、パターン、素材、色、ソール、その他の仕様）の作品が、複数サイズずつ届きます。- その中の１つを、当スタジオが買い取り、アーカイブモデルとします。それ以外のものを、出展モデルとします。- アーカイブモデルにプレケアを施して、ダウンタイム期間後、完成形を撮影します。- そのアーカイブモデルの写真を、各出展モデルのオークションページに掲載します。※ 通販サイトは、販売するものを個別で写真撮りせず、カタログ写真を掲載していますが、それと同様です。- オークション開催中、出展モデルにプレケアを施します。- オークション終了後、履きおろしのベストタイミングに合わせて、各出展モデルを発送します。できれば、各出展モデルを個別で写真撮りしたいと考えました。ただ、それと同時に「ダウンタイム期間後の完成形を見せる」「ベストタイミングで履きおろせるようにする」という２つの目的を果たすには【プレケア→ダウンタイム期間（約１カ月）→写真撮影→履きおろしのための再度のプレケア→ベストタイミングに合わせて発送】というプロセスを踏む必要があります。このプロセスを踏むと日本国内でかかるコストが過大になって、無償でプレケアをすることが難しくなります。そのため、アーカイブモデルの写真を掲載する方法がベストと判断しました。なお、プレケアを有料オプションとし、各出展モデルを個別で写真撮りすることも考えられます。今後、この方法に変更する可能性もありますので、ご了承下さい。・アーカイブモデルの保存皆さんが履く靴と同仕様の靴（アーカイブモデル）を保存することには大きな意義があります。アーカイブモデルは、作品IDに紐づいた作品の詳細データを具現したものとして、皆さんが履く靴の資産価値を守る上で重要な役割を担います。例えば、ある個体をアーカイブモデルと比較することで、その真贋鑑定が正確に行えます。また、アーカイブモデルを、将来メディアで公開したり、アートギャラリーで展示することで、皆さんが履く靴の社会的な価値が高まります。多くの場合、絵は、その版画やデジタルデータが人々に見られているからこそ、その原画に大きな価値が生まれます。それと同様です。皆さんが "原画" としての靴を日々愛用します。私たちがその "版画" としてのアーカイブモデルを保存し、いずれ公開することで "原画" の価値を高めようと計画しています。以上の目的で、当スタジオはアーカイブモデルを保存します。もちろん、ただ持ち続けるのではなく、保革ケアを続けて「保存」します。■ ご注意事項・アニリン仕上げ（染料仕上げ）では、原皮の傷や皺が隠れません。顔料仕上げの革に慣れている方は、ご留意いただければと思います。・取引がキャンセルになると、再度プレケアを行う必要があります。キャンセル防止のため、入札者様の過去のお取引状況によっては、入札の取り消しを行います。・取り消しを行った場合、次点の入札者様が落札者になります。高値更新されても落札の可能性がある点をご了承の上、ご参加をお願いいたします。・その他、お気になる点、お気づきの点、ご要望等ございましたら、ご遠慮なくお問い合わせ下さい。・少しでも皆さんのお役に立てるように、誠心誠意対応いたします。当ページの画像・文書の転載を禁じます。© 2022 風見 光軌 / 椎名 亘（2022年 7月 13日 13時 35分 追加）付属品はございません。画像に写っているシューツリーは撮影用です。（2022年 7月 13日 21時 25分 追加）Ｑ. この作には、どんな服装が合いますか？Ａ.① ビジネス・フォーマル全般② トップス堅め×カジュアルなボトムス（89分丈、ロールアップが合わせやすい）のコーディネートまず、ビジネス・フォーマル系統の服装に対しては、特段の迷いもなく、容易に合わせられます。カジュアル系統の服装に合わせる場合について、詳しく説明します。軍パンやチノ、デニムのようなカジュアルなボトムスに、ジョンロブのバロスや、ウエストンのゴルフを合わせて、ドレスアップする（カジュアルな印象を和らげて、上品さをプラスする）コーディネートは、広く一般的になりました。本作もそれと同様の使い方ができます。普通のドレスシューズは、カジュアルなものに馴染みにくく、足元だけが浮きます。本作は、カジュアルなものに馴染みながら、足元だけを浮かせることなく、コーディネートの雰囲気を変えられます。ただ、本作は、バロスやゴルフよりもドレッシーな印象です。そのため、本作を履くときは、トップスに堅さを残す必要があります。例えば、白シャツや、Ｔシャツ＋ジャケット等が良いでしょう。（さすがに、トップスもカジュアルにすると足元だけが浮きます。）私も本作の元になったモデルを所有していますが、オックスシャツに、ロールアップしたヴィンテージの軍パンを合わせています。トップスに堅さを作って、ボトムスを9分丈orロールアップにすれば、かなり多様なカジュアル（だが、品のある）コーディネートが作れます。企画の意図通りと言えるでしょう。履き込みの浅い段階では、フォーマル専用として使う。エイジングが進んでから、カジュアルコーディネートのドレスアップ用として使う。紐をライトベージュにして、よりカジュアル感を出す。このような使い方をしても面白いかもしれません。（2022年 7月 17日 15時 51分 追加）【質問への回答】レザーはクラネルト製カーフです。このクラスになると優劣をつけ難いですが、私の周囲では全盛期フロイデンベルグを上回る質感という意見が多いです。本作の、ダブルソール、ワイドなコバといった仕様は、悪路や雨天でも安心して歩行するために意図したものでもあります。これらに加え、レザーの厚みも十分であるため、タフネス面で一般的な高級靴に優るでしょう。（それでも、ギレスベルガー派の作品には劣ります。）やはり、以上のような仕様でタフネスを高めると重量が増します。本作は、軽量化＆寿命延長（本当の意味での「一生もの」を作るということ）の観点から、ハイブリッドな設計を採用しています。つまり、ダブルソールの第1層をグッドイヤーで底付けし、第2層を接着しています。（この仕様でハンドソーンを採用すると、重くなりすぎてコンフォートが低下します。）セールスフレーズとして「グッドイヤーの靴は一生もの」と言われますが、これは誤りです。グッドイヤーのリソールは靴に大きな負担をかけるため、せいぜい23回が限度です。しかも、リソール毎に履き心地が変わり、既に入っている履き皺とズレた位置で屈曲します。これは美的観点からも良くないでしょう。しかし本作のハイブリッドな設計であれば、ほぼ無限に張替え可能で、十分に柔らかくしたレザーへ交換すれば履き心地が変わることもありません。本作は、本当の意味での「一生もの」を作るために、こうした設計を採用しています。